天皇の国事行為
【問題】次の1~5の記述のうち、憲法上、天皇の国事行為としてみとめられていないものはいくつあるか。
ア.内閣総理大臣の指名
イ.憲法改正、法律、政令及び条約の裁可
ウ.国務大臣の任免
エ.大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権の決定
オ.衆議院の解散
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【解答】4つ
ア.指名→任命 イ.裁可→公布 ウ.任免→認証 エ.決定→認証 オ.○
天皇の権能(大前提)
天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。(憲法3条)
天皇の国事行為(憲法6条、7条)
- 国会の指名に基づいて、内閣総理大臣を任命する
- 内閣の指名に基づいて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する
(以下すべて、内閣の助言と承認により) - 憲法改正、法律、政令及び条約を公布する
- 国会を召集する
- 衆議院を解散する
- 国会議員の総選挙の施行を公示する
- 国務大臣及び法律で定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証する
- 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証する
- 栄典を授与する
- 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証する
- 外国の大使及び公使を接受する
- 儀式を行う
「指名」とは、集団の中から「この人!」と決めること。
「任命」とは、この場合、指名された人物を正式に「任せますよ!」とお墨付きを与えること。
「憲法改正、法律、政令及び条約」も、「裁可」ではなく「公布」です。「裁可」は「可」とするかどうかを決「裁」するという意思決定が絡みますが、「公布」は決まったものを公にすること。
いずれも、大前提にあるように、責任を問われるような意思決定、権力的な行為はありません。しかし・・・
衆議院の解散!?
「衆議院の解散」(憲法7条3号)とは、随分とドデカイ権能を与えられているようです。
なにしろ選挙で国民から選ばれた衆議院議員からその身分を奪うことになるわけですから。
しかしこれも、前提として「内閣の助言と承認により」とありますので、実質的には内閣が意思決定し、天皇による解散行為は儀式的、形式的なもの、と言われています。
国務大臣の任免!?
同じく、憲法7条5項には
「国務大臣及び法律で定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること」
とあります。
これもうっかり読むと
「国務大臣及び法律で定めるその他の官吏の任免」!?
と読めますが、日本の法令の読み方で「及び」「並びに」の使い方に注意して読みますと・・・
「{(国務大臣及び法律で定めるその他の官吏)の任免}
並びに
{全権委任状及び(大使及び公使)の委任状}」
を認証すること
というわけで、国務大臣等の任免も「認証すること」が天皇のお仕事になるわけです。
そもそも、国務大臣の任免は内閣総理大臣の権限でしたね。
(憲法68条)
1 内閣総理大臣は、国務大臣を任命する(以下略)。
2 内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる。
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