外国人の政治活動の自由

 

【問題】次の文章は○か×か
外国人が政治活動を行うことは、参政権を行使する場合と異なり、国民の主権的意思決定に影響を与えることはないから、その自由は日本国民と同様に保障され、法務大臣が、外国人の在留期間の更新の際に、外国人が在中期間中におこなった政治活動を消極的な事情として斟酌することは許されない。

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【解答】誤り

外国人の政治活動の自由

直接政治に参加する参政権は、国民だけのものであり、外国人には認められていませんが、自分の政治的な考えや主張を表現する政治活動まで認めないのは、規制のし過ぎです。
原則は

「権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き、わが国に在留する外国人に対しても等しく及ぶ」

こととなっています。
では、外国人の政治活動の自由はどこまで認められ、どの点は制限がかかるのでしょうか?

マクリーン事件

アメリカ人マクリーン氏が在留期間中に安保反対、ベトナム戦争反対などの政治活動をおこなったことを理由として、法務大臣が在留期間の更新を認めず、「外国人にも政治活動の自由が保障されるんじゃないの?」と争われた事件

裁判では、
「政治活動の自由についても、わが国の政治的意思決定またはその実施に影響を及ぼす等外国人の地位に照らしこれを認めることが相当でないと解されるものを除き、その保障が及ぶ」
とされました。
何言ってるかわかりにくい文章なので整理しますと、
「『外国人の地位に照らしこれを認めることが相当でないと解されるもの』」を除き、政治活動の自由の保障が及ぶ」
と言っています。
つまり、○○を除き(外国人にも原則として)政治活動の自由の保障が及ぶ、ということ。
では、政治活動の自由の保障が及ばない○○の場合とは?
これが、「外国人の地位に照らし、・・・認めることが相当でない」もの
そしてこの、認めることが相当でない場合の例として
「我が国の政治的意思決定または(政治の)実施に影響を及ぼす」などの場合、と言っているわけです。

では、日本滞在中に反戦運動などの政治活動をおこなったことは、「外国人の地位に照らし・・・認めることが相当でない」なのか?

この同じ裁判では、
「しかし外国人に対する憲法の基本的人権の保障は、外国人在留制度の枠内で与えられているにすぎない」としました。
つまり、日本国民のように憲法によって当たり前に保障された基本的人権ではなく、憲法より下位の出入国管理法によって定められた外国人在留制度の枠内、というわけです。

そして
「在留期間中の憲法の基本的人権の保障を受ける行為を、在留期間の更新の際に消極的な事実として斟酌されないことまでの保障が与えられているものと解することはできない」
と結論づけました。
つまり、外国人に対する基本的人権の保障は、反戦活動をしたからといって在留更新の申請を却下するという法務大臣の判断に対し、優先しない程度の保障にすぎない、ということですね。

外国人在留制度は法務大臣が運用しています。

「反戦活動したから在留更新を認めない」という法務大臣の判断も、外国人在留制度の一部というわけです。

まとめ

  • 原則:外国人にも政治活動の自由が保障される
  • 例外:外国人の地位にかんがみ、認めることが相当でないと解されるもの
    (例:政治的意思決定やその実施に影響を及ぼす政治活動)には、政治活動の自由は保障されない
  • 原則である外国人の政治活動の保障も、外国人在留制度の枠内で与えられているにすぎない
    (外国人の政治活動の自由の保障<外国人在留制度)

類題演習

次の文章は○か×か
憲法13条以下で保障される諸権利のなかで、明示的に「国民」を主語としている権利については、日本に在留する外国人に対して保障が及ばないとするのが、判例である。











【解答】誤り

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2016/07/28